貸切バス事業者のための分割休息の特例完全ガイド

貸切バス事業者のための分割休息の特例完全ガイド

分割休息の特例と休憩時間と休息期間の違い:運行管理者が知っておくべき基本知識

まずは、基礎知識のおさらい。

休憩時間とは

休憩時間は拘束時間から労働時間を除いた時間で、労働から完全に解放される時間です。重要なポイントとして、待機時間などの手待時間は休憩時間に含まれません。

休息期間とは

休息期間は、勤務の終業から次の始業までの間の時間を指します。この概念は主に改善基準告示において使用される専門用語です。

拘束時間について

拘束時間は、労働時間と休憩時間を合わせた時間です。事業用自動車の運転者に関する改善基準告示への適合性を判断する上で極めて重要な概念ですので、事業者様および運行管理者様は確実に理解しておく必要があります。

休息期間の法的基準

休息期間に関する基本的な基準は以下の通りです:

  1. 1日の休息期間は、勤務終了後、継続して9時間を下回ることはできません。
  2. さらに、継続11時間以上の休息期間を付与するよう努めることが努力義務となっています。

次に、分割休息の特例について解説します。

分割休息の特例とは

業務上の必要性から、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を確保することが困難な場合、一定の条件下で特例が認められています。具体的には:

  • 一定期間(1か月を限度とする)全勤務回数の2分の1までを限度として適用可能です
  • 休息期間を拘束時間の途中および拘束時間経過直後に分割して与えることができます
  • 分割された休息期間は、1回あたり継続4時間以上、合計11時間以上必要です
  • 分割は2分割のみ認められ、3分割以上は認められません

事例で学ぶ:分割休息特例の適否判断

以下は、それぞれ10時から始まる3回の運行例での適否判断です:

事例1(適合)

休息期間は4時間と7時間の2分割で合計11時間。各休息時間が4時間以上であり、合計も11時間以上のため基準を満たしています。

事例2(違反)

休息期間は3時間と8時間の2分割で合計11時間。合計時間数は基準を満たしていますが、最初の休息が1回当たり継続4時間以上の基準を満たしていないため、改善基準告示違反となります。

事例3(違反)

休息期間が4時間、4時間、4時間の3分割。各休息は4時間以上ありますが、2分割を超えているため、改善基準告示違反となります。

分割休息特例適用時の実務上の注意点

分割休息の特例を適用する際には、以下の点に特に注意が必要です:

  1. 点呼の実施義務:休息の前後には必ず点呼を実施する必要があります
  2. 適切な休息施設:休息は自宅または確実に休息が取れる施設を利用しなければなりません
  3. 記録の義務:休息をした施設の名称と位置(住所)を業務記録に記載する必要があります

これらの要件を満たさない場合、点呼未実施となるか、または休息として認められなくなり、結果として改善基準告示違反となる可能性があります。

分割休息特例の運用における基本的な考え方

疲労回復のためには十分な睡眠時間の確保が不可欠であり、継続した休息期間を確保することが重要です。休息期間の分割は本来望ましくないものであり、可能な限り避けるべきです。

特例の適用は、あくまでも例外的な措置であることを十分に理解した上で、乗務員の健康と安全を第一に考えた運行計画を立てましょう。

まとめ

分割休息の特例を適切に運用することは、貸切バス事業の安全運行に直結する重要事項です。特例適用時は点呼の実施や適切な休息施設の確保、記録の徹底といった要件をしっかりと満たすことが必須となります。

これらの要件を遵守することで、乗務員の健康管理と安全運行を両立させることができます。法令遵守はもちろんのこと、乗務員の健康と安全を守るという観点からも、休息期間の確保は最優先事項として取り組むべき課題です。

適切な運行管理でお困りの際は、貸切バス専門の行政書士として、お気軽にご相談ください。法令遵守と事業の円滑な運営の両立をサポートいたします。

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