対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示

対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示
国土交通省告示第二百六十六号

令和五年三月三十一日
国土交通大臣 斉藤鉄夫

第一条(総則)

自動車運送事業者(以下「事業者」という。)が、旅客自動車運送事業運輸規則(以下「運輸規則」という。)第二十四条第一項及び第二項並びに貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下「輸送安全規則」という。)第七条第一項及び第二項の規定に基づき、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者又は特定自動運行保安員(以下「運転者等」という。)に対して、国土交通大臣が告示で定める要件を満たす方法により行う点呼に関し、その機能等の要件については、この告示の定めるところによる。

第二条(用語)

この告示において使用する用語は、運輸規則及び輸送安全規則において使用する用語の例によるほか、次の各号に定めるところによる。

一 遠隔点呼
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、遠隔の営業所又は車庫にいる運転者等に対して行う点呼をいう。

二 業務後自動点呼
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して行う点呼をいう。

三 完全子会社等
事業者の完全子会社(法人がその総株主の議決権の全部を有する他の会社をいう。この場合において、法人及びその一若しくは二以上の完全子会社又は法人の一若しくは二以上の完全子会社がその総株主の議決権の全部を有する他の会社は、当該法人の完全子会社とみなす。)若しくは完全親会社(会社を完全子会社とする他の会社をいう。)又は当該事業者と完全親会社が同一である他の会社をいう。

第三条(点呼に使用する機器の種類)

運輸規則第二十四条第一項及び第二項並びに輸送安全規則第七条第一項及び第二項の国土交通大臣が告示で定める要件を満たす機器は、次に掲げるものとする。

  1. 遠隔点呼で使用する機器(以下「遠隔点呼機器」という。)
  2. 業務後自動点呼で使用する機器(以下「自動点呼機器」という。)

第四条(遠隔点呼の実施)

遠隔点呼は、次に掲げる二地点間(以下「遠隔点呼実施地点間」という。)において実施することができるものとする。

  1. 自社営業所と当該営業所内の車庫との間
  2. 自社営業所の車庫と当該営業所内の他の車庫との間
  3. 自社営業所と他の自社営業所との間
  4. 自社営業所と他の自社営業所内の車庫との間
  5. 自社営業所内の車庫と他の自社営業所内の車庫との間
  6. 自社営業所と完全子会社等の営業所との間
  7. 自社営業所と完全子会社等の営業所内の車庫との間
  8. 自社営業所内の車庫と完全子会社等の営業所内の車庫との間

第五条(遠隔点呼機器の機能の要件)

遠隔点呼機器は、次の各号に掲げる要件を備えなければならない。

遠隔点呼を行う運行管理者又は補助者(以下「運行管理者等」という。)が次に掲げる事項について、映像と音声の送受信により通話をすることができる方法によって、随時明瞭に確認できる機能を有すること。

  • イ 運転者等の顔の表情
  • ロ 運転者等の全身
  • ハ 運転者の酒気帯びの有無
  • ニ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

運転者が行うアルコール検知器による測定の結果検知された呼気中のアルコールの有無又はその濃度を自動的に記録及び保存するとともに、遠隔点呼を行う運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できる機能を有すること。

遠隔点呼を行う運行管理者等及び遠隔点呼を受ける運転者等について、生体認証符号等(個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号その他の申請を行う者を認証するための符号をいう。以下同じ。)を使用する方法により確実に個人を識別する機能を有すること。

次のイからトまでに掲げる事項が遠隔点呼実施地点間で共有され、当該事項について遠隔点呼時に遠隔点呼を行う運行管理者等が確認できる機能を有すること。

  • イ 運転者等の日常の健康状態
  • ロ 運転者等の労働時間
  • ハ 運転者等に対する指導監督の記録
  • ニ 運行に要する携行品(以下単に「携行品」という。)
  • ホ 乗務員等台帳の内容
  • ヘ 運転者等に対する過去の点呼記録
  • ト 運行に使用する事業用自動車の整備状況

遠隔点呼を行う運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無を、平常時と比較して確認できる機能を有すること。

遠隔点呼を行う運行管理者等が、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の結果を確認できる機能を有すること。

遠隔点呼を行う運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者等に伝達すべき事項を確認できる機能を有すること。

遠隔点呼を受けた運転者等ごとに、次のイ及びロに掲げる事項を電磁的方法により記録し、遠隔点呼実施地点間で共有するとともに、その記録を一年間保存する機能を有すること。

イ 業務前の遠隔点呼に係る事項

  1. 遠隔点呼を行った者の氏名
  2. 遠隔点呼を受けた運転者等の氏名
  3. 遠隔点呼を受けた運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる記号、番号等
  4. 遠隔点呼の実施日時
  5. 点呼の方法
  6. 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
  7. 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者のアルコール検知器使用時の静止画又は動画
  8. 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無についての確認の結果
  9. 道路運送車両法第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の結果
  10. 特定自動運行保安員にあっては、特定自動運行事業用自動車による運送を行うために必要な自動運行装置の設定の状況に関する確認の結果
  11. 運行管理者が運転者等に対し伝える指示事項
  12. 運行管理者が、当該運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した場合の理由及び代替措置の内容
  13. その他必要な事項

ロ 業務後の遠隔点呼に係る事項

  1. 遠隔点呼を行った者の氏名
  2. 遠隔点呼を受けた運転者等の氏名
  3. 遠隔点呼を受けた運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる記号、番号等
  4. 遠隔点呼の実施日時
  5. 点呼の方法
  6. 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
  7. 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者のアルコール検知器使用時の静止画又は動画
  8. 運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況
  9. 交替する運転者等に対する通告
  10. その他必要な事項

遠隔点呼機器の故障が発生した場合、故障発生日時及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を一年間保存する機能を有すること。

電磁的方法により記録された第八号に掲げる事項及び前号の記録の修正若しくは消去ができないこと又は電磁的方法により記録された第八号に掲げる事項及び前号の記録が修正された場合においては修正前の情報が保存され、かつ、消去ができない機能を有すること。

十一 電磁的方法により記録された第八号(イ(7)及びロ(7)を除く。)に掲げる事項及び第九号の記録について、遠隔点呼機器に保存された情報をCSV形式で、電磁的記録として出力する機能を有すること。

第六条(遠隔点呼機器を設置する施設及び環境の要件)

遠隔点呼機器を設置する施設及び環境の要件は、次のとおりとする。

遠隔点呼を行う運行管理者等が次に掲げる事項について、映像と音声の送受信により通話をすることができる方法によって、随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていること。

  • イ 運転者等の顔の表情
  • ロ 運転者等の全身
  • ハ 運転者の酒気帯びの有無
  • ニ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での遠隔点呼の実施を防止するため、遠隔点呼実施場所の天井等に監視カメラを備え、運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者等の全身を随時、明瞭に確認することができること。

遠隔点呼が途絶しないために必要な通信環境を備えていること。

遠隔点呼を行う運行管理者等と遠隔点呼を受ける運転者等との対話が妨げられないようにするために必要な通話環境が確保されていること。

第七条(遠隔点呼機器の運用上の遵守事項)

事業者及び運行管理者等は、遠隔点呼を行うにあたっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

遠隔点呼を行う運行管理者等は、地理情報及び道路交通情報等、事業用自動車の運行の業務を遂行するために必要な情報を有すること。

遠隔点呼を行う運行管理者等は、面識のない運転者等に対し遠隔点呼を行う場合は、あらかじめ当該運転者等と対面又は映像と音声の送受信により通話をすることができる方法で面談する機会を設け、次に掲げる事項について確認を行うこと。

  • イ 運転者等の顔の表情
  • ロ 運転者にあっては、健康状態
  • ハ 運転者にあっては、適性診断の受診の結果
  • ニ その他遠隔点呼を実施するために必要な事項

遠隔点呼を行う運行管理者等は、遠隔点呼を遺漏なく行うため、運行中の事業用自動車の位置の把握に努めること。

遠隔点呼を行う運行管理者等は、遠隔点呼を受ける運転者等の携行品の保持状況又は返却状況を確認すること。

遠隔点呼を行う運行管理者は、運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した場合、直ちに当該運転者等が所属する営業所の運行管理者等に連絡すること。

前号の場合にあっては、事業者は、遠隔点呼を行う運行管理者が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した運転者等の所属する営業所において、代替措置を講じることができる体制を整えること。

遠隔点呼機器の故障等により遠隔点呼を行うことが困難になった場合にあっては、遠隔点呼を受ける運転者等が所属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の当該営業所で実施が認められている点呼を行うことができる体制を整えること。

完全子会社等との間で遠隔点呼を行う場合は、必要に応じ、事業者及び完全子会社等の間において、遠隔点呼の実施に必要な事項に係る契約を締結すること。

事業者は、運行管理者等及び運転者等(以下この号において「対象者」という。)の識別に必要な生体認証符号等、運転者の体温及び血圧その他の個人情報の取扱いについて、あらかじめ対象者から同意を得ること。

事業者は、遠隔点呼の実施に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者等、運転者等その他の関係者に周知すること。

第八条(業務後自動点呼の実施)

業務後自動点呼は、事業者の営業所又は当該営業所の車庫において、当該営業所に所属する運転者等に対し行うことができるものとする。

第九条(自動点呼機器の機能の要件)

自動点呼機器の機能の要件は、次のとおりとする。

第十一号に掲げる業務後自動点呼に必要な事項の確認、判断及び記録を実施できる機能を有すること。

運行管理者等が、運転者等ごとの業務後自動点呼の実施予定及び当該業務後自動点呼に責任を持つ運行管理者の氏名を入力でき、当該業務後自動点呼の実施状況及び実施結果を確認できる機能を有すること。

業務後自動点呼を受ける運転者等について、生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務後自動点呼を開始する機能を有すること。

運転者によるアルコール検知器の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、アルコール検知器が作動する機能を有すること。ただし、前号の生体認証符号等による識別の直後にアルコール検知器を使用する場合には、本号の生体認証符号等による識別は、省略することができる。

運転者が行うアルコール検知器による測定の結果検知された呼気中のアルコールの有無又はその濃度及びアルコール検知器使用時の静止画又は動画を自動的に記録及び保存する機能を有すること。

運転者が行うアルコール検知器による測定の結果、運転者の呼気中にアルコールが検知された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務後自動点呼を完了することができない機能を有すること。

運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況及び交替する運転者等に対する通告について、運転者等が口頭で報告した内容を電磁的方法により記録し、運行管理者等が確認できる機能を有すること。

運行管理者が運転者等に対して伝える指示事項を、当該運転者等ごとに画面表示又は音声により伝達する機能を有すること。

第十一号に掲げる業務後自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされない場合又は故障が生じている場合には、業務後自動点呼を完了することができない機能を有すること。

運転者等ごとに業務後自動点呼の実施予定時刻を設定することができ、当該予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務後自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等に対し警報又は通知を発する機能を有すること。

十一 業務後自動点呼を受けた運転者等ごとに、次に掲げる事項を電磁的方法により記録し、かつ、その記録を一年間保存する機能を有すること。

  • イ 業務後自動点呼に責任を負う運行管理者の氏名
  • ロ 業務後自動点呼を受けた運転者等の氏名
  • ハ 業務後自動点呼を受けた運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は当該事業用自動車を識別できる記号、番号等
  • ニ 業務後自動点呼の実施日時
  • ホ 点呼の方法
  • ヘ 運転者にあっては、業務後自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
  • ト 運転者にあっては、業務後自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器の使用に係る生体認証符号等による識別時及びアルコール検知器による測定時の、当該運転者の顔面が明瞭に確認できる静止画又は動画
  • チ 運転者等が業務後自動点呼を受けている状況が明瞭に確認できる静止画又は動画
  • リ 運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況
  • ヌ 交替する運転者等に対する通告
  • ル その他必要な事項

十二 自動点呼機器が故障した場合、故障発生日時及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を一年間保存する機能を有すること。

十三 電磁的方法により記録された第十一号に掲げる事項及び前号の記録の修正若しくは消去ができないものであること又は電磁的方法により記録された第十一号に掲げる事項及び前号の記録が修正された場合においては修正前の情報が保存され、かつ、消去できないものであること。

十四 電磁的方法により記録された第十一号に掲げる事項及び第十二号の記録について、自動点呼機器に保存された情報をCSV形式で、電磁的記録として出力する機能を有すること。

第十条(自動点呼機器を設置する施設及び環境の要件)

なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外で業務後自動点呼が実施されることを防止するため、業務後自動点呼実施場所の天井等に監視カメラを備え、運行管理者等が、業務後自動点呼を受ける運転者等の全身を常時又は業務後自動点呼実施後に、明瞭に確認することができること。

第十一条(自動点呼機器の運用上の遵守事項)

事業者及び運行管理者等は、業務後自動点呼を行うにあたっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

事業者は、業務後自動点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者等、運転者等その他の関係者に周知すること。

事業者は、自動点呼機器の使用方法、故障時の対応等について運行管理者、運転者等その他の関係者に対し、適切に教育及び指導を行うこと。

事業者は、所定の場所以外で業務後自動点呼が行われることを防止するため、業務後自動点呼に用いる自動点呼機器が業務後自動点呼実施場所から持ち出されないよう必要な措置を講じること。

事業者は、自動点呼機器を適切に使用、管理及び保守することにより、常に正常に作動する状態に保持すること。

運行管理者等は、運転者等ごとの業務後自動点呼の実施予定及び実施結果を適宜確認し、点呼の未実施を防止すること。

業務後自動点呼を実施する予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務後自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。

事業者は、運転者等が携行品を確実に返却したことを確認できる体制を整備すること。

運行管理者等に対し早急に報告する必要がある事項については、業務後自動点呼の実施にかかわらず、運転者等から運行管理者等に対し速やかに報告するよう指導すること。

運転者が酒気を帯びていることが確認された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。

自動点呼機器の故障等により業務後自動点呼を行うことが困難となった場合に、業務後自動点呼を受ける運転者等が所属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の実施が認められている点呼を行う体制を整えること。

十一 事業者は、運転者等(以下この号において「対象者」という。)の識別に必要な生体認証符号等、あらかじめ、対象者の同意を得ること。

附則

この告示は、道路運送法施行規則等の一部を改正する省令の施行の日(令和五年四月一日)から施行する。

注意 この告示は令和6年4月1日に改正されています。

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