今般、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」の総合的な対策(平成28年6月3日)を踏まえ、一般貸切旅客自動車運送事業者(以下「事業者」という。)の法令違反について、道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第40条の規定に基づく許可の取消し等の行政処分等を行う際の基準を次のように定めたので、今後、管下の事業者に行政処分等を行う場合、この基準に従って行うこととされたい。
1.通則
(1)行政処分の種類は、軽微なものから順に、自動車その他の輸送施設の使用の停止処分(以下「自動車等の使用停止処分」という。)、事業の停止処分及び許可の取消処分とする。また、これに至らないものは、軽微なものから順に、勧告、警告とし、行政処分とこれらを合わせたものを「行政処分等」という。
(2)行政処分等を行う場合において、違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等がない場合における当該違反を「初違反」といい、違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を1度受けている場合の当該違反を「再違反」といい、違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を2度以上受けている場合の当該違反を「累違反」という。
(3)次に掲げる違反について、(2)の初違反、再違反又は累違反を適用する場合には、同一営業所におけるものかどうかを問わない。
① 法第4条第1項又は法第43条第1項の違反
② 法第33条第1項又は第2項の違反
③ 法第94条第1項の規定による報告の未実施若しくは虚偽の報告又は第4項の規定による検査の拒否若しくは虚偽の陳述
(4)この通達において「道路交通法通知等」とは、次に掲げるものをいう。
① 道路交通法(昭和35年法律第105号)第22条の2第2項(同法第66条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づく協議
② 道路交通法第75条第3項(同法第75条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定に基づく意見聴取
③ 道路交通法第108条の34の規定に基づく通知
(5)事業者に対する行政処分等は、この通達の本文及び別表に定める違反事項ごとの行政処分等の量定(以下「基準日車等」という。)に基づき行うものとする。
(6)基準日車等の適用に当たり累違反については、次により取り扱うものとする。
① 再違反の基準日車等が警告である違反事項の累違反については、警告とする。
② ①以外の場合にあっては、再違反の2倍とする。
(7)違反の内容又は輸送の安全確保義務違反(法第23条第1項、第23条の5第2項及び第3項並びに第27条第1項から第3項までの規定に係る違反行為をいう。)に伴い引き起こした重大事故等(自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)第2条第3号に規定する事故又は20人以上の軽傷者を生じた事故(当該事故の第一当事者(最初に事故に関与した車両等の運転者又は特定自動運行保安員(以下「運転者等」という。)のうち、当該事故における過失が最も重い者をいい、また、過失が同程度の場合には人身損害程度が軽い者をいう。 以下同じ。 ) と推定されるものに限る。 )をいう。以下同じ。)の内容が次に掲げる場合は、(5)の基準による行政処分等を加重することができる。この場合、加重は原則として(5)の基準による基準日車等の2倍((5)の基準による基準日車等が勧告である場合は警告、警告である場合は10日車)とする。
① 違反事実若しくはこれを証するものを隠滅し、又は隠滅すると疑うに足りる相当の理由が認められる場合
② 違反事実又は違反に伴い引き起こした重大事故等が社会的影響のあるものである場合
(8)違反行為を防止するために相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があった場合は、当該違反行為について(5)の基準による行政処分等を軽減することができる。この場合、軽減は原則として(5)の基準による基準日車等の2分の1((5)の基準による基準日車等が10日車である場合は警告)とする。ただし、過失による旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号。以下「運輸規則」という。)の初違反で、かつ、当該違反に係る被害がなく、違反状態の発生から10日以内に当該違反状態を解消する行為が行われ、事業者自らの申告(道路交通法の取締りによって違反事実が発覚した場合及び監査の際に申告した場合を除く。)があったときは、基準日車等が50日車を超える違反については10日車、50日車以下の違反については警告とする。
(9)地方運輸局(沖縄総合事務局を含む。以下同じ。)に「旅客自動車運送事業関係行政処分審査委員会」 (以下「審査委員会」という。)を設け、この通達(別表を含む。)に違反行為の事項として明記されていない違反行為があった場合、違反に対して加重又は軽減する場合、3. (4)ただし書、4. (4)、5. (1)ただし書又は5. (2)の取扱いを行おうとする場合等について、必要に応じて審査委員会の議に付して行政処分等を行うものとする。
(10)行政処分等を行う場合は、原則として事業者を運輸支局(運輸監理部及び運輸事務所を含む。以下同じ。)又は地方運輸局に呼び出して法令遵守の徹底を図るよう改めて指導する。
(11)違反行為を行った事業者(以下「違反事業者」という。)に対し行政処分等を行う場合において、当該違反行為に係る営業所((12)及び(13)に該当する営業所を含む。以下「違反営業所」という。)の事業用自動車の移動等が行われた場合の当該違反行為は、次により取り扱うものとする。
① 当該違反行為に係る行政処分等を受ける前に、違反営業所に所属する事業用自動車(一般貸切旅客自動車運送事業(以下「運送事業」という。)に係るものに限る。以下同じ。)を当該事業者の他の営業所に移動し、違反営業所の事業用自動車の数を減少させている場合(違反営業所が廃止された場合を含む。)は、違反営業所(廃止されたものを除く。 ) 及び事業用自動車の移動先営業所に係るものとして取り扱うものとする。
② 違反営業所が廃止された場合(①に該当する場合を除く。)は、次に掲げる営業所に係るものとして取り扱うものとする。
イ 当該廃止された営業所(以下「廃止営業所」という。)と同一の運輸支局が管轄する区域(以下「支局区域」という。)に所在する営業所のうち廃止営業所に最寄りのもの
ロ 廃止営業所と同一の地方運輸局の管轄区域(以下単に「管轄区域」という。)に所在する営業所のうち廃止営業所に最寄りのもの(イに該当する営業所がない場合に限る。)
ハ 廃止営業所に最寄りの営業所(イ又はロに該当する営業所がない場合に限る。)
(12)違反事業者に対し行政処分等を行う場合において、当該違反行為が営業所以外の事務所(以下単に「事務所」という。)に係るものにあっては、当該事務所に営業所を併設しているときは、その営業所に係る違反行為として、当該事務所に営業所を併設していないときは、次に掲げる営業所に係るものとして取り扱うものとする。
① 事務所と同一の支局区域に所在する営業所のうち当該事務所に最寄りのもの
② 事務所と同一の管轄区域に所在する営業所のうち当該事務所に最寄りのもの(①に該当する営業所がない場合に限る。)
③ 当該事務所に最寄りの営業所(①又は②に該当する営業所がない場合に限る。)
(13)法第22条の2若しくは第29条の3又は運輸規則第38条第6項の規定に違反した事業者に対し行政処分等を行う場合において、主たる事務所に営業所を併設しているときは、その営業所に係るものとして、主たる事務所に営業所を併設していないときは、(12)①から③までに掲げる営業所に係るものとして取り扱うものとする。
(14)違反事業者が当該違反行為に係る行政処分等を受ける前に、当該違反事業者に法人の合併又は相続があった場合、当該違反事業者の違反行為は、合併後の法人又は相続人が行ったものとして取り扱うものとする。
(15)違反事業者が当該違反行為に係る行政処分等を受ける前に、事業者たる法人の分割又は事業の全部若しくは一部の譲渡(譲受人の譲り受けた運送事業が譲渡人の譲り渡した運送事業と継続性及び同一性を有すると認められるものに限る。2.(7)及び5.(3)②において同じ。)により、当該違反事業者の違反営業所に係る運送事業の全部又は一部の承継があった場合、当該違反行為は、分割により承継した法人又は譲渡人及び譲受人(これらの者のうち、運送事業を廃止したものを除く。)の、次に掲げる営業所に係るものとして取り扱うものとする。
① 違反事業者については、違反営業所。この場合において、当該違反事業者に違反営業所が残っていないときは、当該違反事業者に対しては、 (11)②の例にならって取り扱うものとする。
② 違反事業者から分割により承継した法人又は譲受人については、違反事業者の違反営業所に係る運送事業の全部又は一部を承継して営業する営業所
2.法令違反に係る点数制度
(1)行政処分等(3.(6)の規定により警告とする場合を含む。)を行う事業者には、1.(5)から(9)までの規定に基づいて算出した基準日車等の合計(以下「処分日車数」という。)が10日車までごとに1点とする違反点数を付すものとする。
(2)4.(1)②各号に掲げる違反により事業の停止処分を行う事業者には、(1)のほか、4. (1)②各号に掲げる違反ごとに30点の違反点数を付すものとする。ただし、4.(1)②ロに該当したことに伴って4.(1)②ホに該当する場合の違反点数は、合わせて30点とする。
(3) (1)及び(2)により事業者に付された違反点数(以下単に「違反点数」という。)は、事業者単位で累計し、主たる事務所を管轄する地方運輸局において管理を行うものとする。
(4)違反点数の累計期間は3年間とし、行政処分等を行った日(行政処分等を行うべく決裁を行った日をいう。以下同じ。)から3年を経過する日をもって当該違反点数は消滅するものとする。ただし、行政処分等を受けた営業所が、次の①から④までのいずれにも該当する場合にあっては、当該行政処分等を行った日から2年を経過する日をもって、当該違反点数は消滅するものとする。
① 当該行政処分等を行った日以前の2年間において行政処分等を受けていないこと。
② 当該行政処分等に係る所要の措置が履行されており、当該行政処分等を行った日から2年間、行政処分を受けていないこと。
③ 当該行政処分等を行った日から2年間、重大事故等を引き起こしていないこと。
④ 当該行政処分等を行った日から2年間、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転、無免許運転、酒気帯び運転、過労運転、無車検運行及び無保険運行がないこと。
(5)行政処分等を受けた営業所の廃止があったときは、当該事業者については、(4)ただし書の規定は、適用しない。
(6)事業者たる法人の合併又は事業者の相続があった場合、合併前の法人又は被相続人に付されていた違反点数は、(4)の規定により消滅するまでの間、合併後の法人又は相続人に付されているものとする。
(7)事業者たる法人の分割又は事業の全部若しくは一部の譲渡により、運送事業の全部又は一部の承継があった場合、分割前の法人又は譲渡人に付されていた違反点数は、(4)の規定により消滅するまでの間、分割により承継した法人又は譲渡人及び譲受人(これらの者のうち、運送事業を廃止したものを除く。)に付されているものとする。この場合において、これらの者に行政処分等を受けた営業所の廃止があり、又はこれらの者が行政処分等を受けた営業所を承継していないときは、当該事業者については、(4)ただし書の規定は、適用しない。
3.自動車等の使用停止処分
(1)自動車等の使用停止処分は、原則として、違反営業所又は1.(11)から (15)までの規定により違反行為があったものとして取り扱われる営業所(以下「違反営業所等」という。)に所属する事業用自動車について、処分日車数に基づき6月以内の期間を定めて使用の停止を行うものとする。ただし、4.(1)①、5.(1)又は5.(2)の規定に該当する場合は、自動車等の使用停止処分は行わず、事業の停止処分又は許可の取消処分を行うものとする。
(2)行政処分等に係る処分日車数は、1.(5)から(9)までの規定に基づいて決定するものとする。この場合、2以上の違反がある場合は、基準日車等を合算したものとする。
(3)(2)の規定にかかわらず、運輸規則第38条第1項に規定する運転者に対する指導監督義務に係る違反のうち、都道府県公安委員会からの道路交通法通知等(重大事故等、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転、無免許運転、酒気帯び運転、過労運転又は下命され、若しくは容認された最高速度違反に係るものを除く。)に基づくものについては、別表の別紙1又は別紙2により、別途個別に処分する。
(4)処分日車数における使用を停止する車両数(以下「使用停止車両数」という。)及び使用を停止する期間(以下「停止期間」という。)は次のとおりとする。ただし、地域住民等の生活交通の確保、高齢者、身体障害者等移動制約者の移動手段の確保その他公共の利益に著しい障害が生じるおそれがある場合には、当該基準によらず、これを決定することができるものとする。
使用停止車両数は、違反営業所に所属する事業用自動車数(監査時点又は処分時点のもののうちいずれか多い方とする。)に0.8を乗じ、小数点以下を切り捨てた整数値とする。なお、これにかかわらず、当該整数値が処分時点の事業用自動車数と同数、又は上回った場合は、処分時点の事業用自動車数から1両を減じた数とし、当該整数値が処分日車数と同数、又は上回った場合は、処分日車数と同一とするとともに、違反営業所に所属する事業用自動車数が処分時点において1両である場合は、1両とする。
停止期間は、処分日車数を前段の使用停止車両数で除し、小数点以下を切り捨てた整数値の日数とする。なお、切り捨てがある場合、停止期間を1日追加するとともに、追加日(当該停止期間の翌日をいう。)における使用停止車両数は、前段の使用停止車両数と当該整数値を乗じ、これを処分日車数から減じた数とする。
ただし、上記により算出された停止期間が6月を超える場合は、処分時点の事業用自動車数を限度に使用停止車両数を追加する。
(5)(1)、(7)又は(9)の処分を行うときは、法第41条第1項の規定に基づいて、当該事業用自動車の自動車検査証の返納及び自動車登録番号標の領置を併せて行うものとする。ただし、自動車登録番号標の領置が特に困難であると認められる場合は、当該事業用自動車の総走行距離計による確認又は臨店による監視その他当該事業用自動車の使用の停止を確認するための適切な措置をもってこれに代えることができるものとする。
(6)(2)の合算の結果、処分日車数が50日車以下となる場合は、自動車等の使用停止処分は行わず、警告を行うものとする。ただし、4.に該当し、事業の停止処分となる場合及び5.(1)に該当し、許可の取消処分となる場合並びに1.(8)ただし書きを適用する場合を除く。
(7)「一般貸切旅客自動車運送事業の監査方針について」(平成28年11月18日付け、国自安第155号、国自旅第225号、国自整第218号)。以下「貸切の監査方針」という。)に規定する特別監査又は一般監査において、輸送の安全に関わる緊急を要する重大な法令違反であって次のいずれかに該当するものを確認した場合は、是正を確認するまでの間、違反営業所に所属する全ての事業用自動車の使用の停止処分を行うものとする。なお、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第2項第1号に規定された「公益上、緊急に不利益処分をする必要がある」に従い、弁明の機会の付与の手続きを執らずに行うこととする。
イ 法第23条第1項の規定に違反して、運行管理者が全く不在(選任なし)の場合
ロ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第21条第5項の規定に違反して、全運転者等が健康診断を受診していない場合。 ただし、 直近1か年の受診を確認できない場合であっても毎年度の定期的な受診を確認できる場合を除く。
ハ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第38条第1項及び第2項の規定に違反して、運転者に対して指導監督及び特別な指導を全く実施していない場合
ニ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第45条の規定に違反して、道路運送車両法 (昭和26年法律第185号) 第50条第1項に規定する整備管理者が全く不在(選任なし)の場合であって、営業所に配置している全て の事業用自動車について同法第48条第1項に規定する定期点検整備を全く実施していない場合
(8)(7)による自動車の使用停止処分をした場合であっても、(2)による行政処分等に係る処分日車数から減じないこととする。
(9)貸切の監査方針に規定する街頭監査において、運行中の自動車に係る輸送の安全に関わる法令違反(所要の交替運転者がいない場合、運転者等の疲労、疾病により安全な運行が継続できないおそれを確認した場合、点呼未実施、アルコール検知器の不所持、運行指示書の未作成・不携行・記載漏れ等をいう。なお、明らかな酒気帯び、無車検運行等の道路交通法に係る違反が疑われた場合は、警察機関へ通報する。)を確認した場合は、是正を確認するまでの間、当該自動車の使用の停止処分を行うものとする。なお、行政手続法第13条第2項第1号に規定された「公益上、緊急に不利益処分をする必要がある」に従い、弁明の機会の付与の手続きを執らずに行うこととする。
(10)(9)による自動車の使用停止処分をした場合であっても、(2)による行政処分等に係る処分日車数から減じないこととする。
(11)(9)による自動車の使用停止処分は、街頭監査を実施する地方運輸局又は運輸支局等の管轄区域外に営業所を有する事業者に対しても行うことができる。
4.事業の停止処分
(1)事業の停止処分は、次の①、②又は③のいずれかに該当することとなった場合(5.(1)又は5.(2)に該当する場合を除く。)に、当該違反営業所等に対して行うものとする。
なお、①による事業の停止処分は6月以内の期間を定めて行うとともに、2回目以降の発動は、前回の発動の後に付された違反点数の累計が51点以上となった場合に行うものとする。
① 違反点数の付与により、違反点数の累計が51点以上となった場合
② 次のいずれかに該当する場合(5.(1)③に該当する場合を除く。)
イ 法第4条第1項又は法第43条第1項の規定に違反して、許可を受けずに他の種別の旅客自動車運送事業を経営した場合
ロ 法第23条第1項の規定に違反して、運行管理者が全く不在(選任なし)の場合
ハ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第21条第1項の規定に違反して、「事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」 (平成13年国土交通省告示第1675号)が著しく遵守されていない場合
ニ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第21条第5項の規定に違反して、全運転者等が健康診断を受診していない場合。ただし、直近1か年の受診を確認できない場合であっても毎年度の定期的な受診を確認できる場合を除く。
ホ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第24条第1項から第3項までの規定に違反して、全運転者等に対して点呼を全く実施していない場合
ヘ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第38条第1項及び第2項の規定に違反して、運転者に対して指導監督及び特別な指導を全く実施していない場合
ト 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第45条の規定に違反して、営業所に配置している全ての事業用自動車について道路運送車両法第48条第1項に規定する定期点検整備を全く実施していない場合
チ 法第27条第3項の規定に基づく運輸規則第45条の規定に違反して、道路運送車両法第50条第1項に規定する整備管理者が全く不在(選任なし)の場合
リ 法第33条第1項の規定に違反して、名義を他人に利用させていた場合
ヌ 法第33条第2項の規定に違反して、事業の貸し渡し等を行っていた場合
ル 法第94条第4項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して虚偽の陳述を行った場合
③ 貸切の監査方針2. (4)①に規定する指摘事項確認監査(以下「指摘事項確認監査」という。)において、是正措置が講じられていないことを確認した場合。ただし、自助努力では実施不可能な厳にやむを得ない事情があって、是正措置が講じられていない場合又は記載事項の不備を確認したが、当該不備が不注意から起こる見落としであることが明らかな場合は、この限りでないが、これらの場合であっても、許容しうる最も短い期間を定めて是正措置が講じられたことを報告させ、それを確認できたときのみとする。
(2)(1)①の場合の事業の停止期間は、3.(2)による処分日車数を当該営業所に所属する事業用自動車数(当該事業の停止処分に該当することとなった当該違反を確認した日の事業用自動車数による。)で除した日数とする。この場合において、1日未満の端数は1日に切り上げるものとする。なお、3.(8)の規定は、事業の停止期間の算出について準用する。
(3)(1)②の場合の事業の停止期間は、(1)②各号に掲げる違反ごとに30日間とする。ただし、(1)②ロに該当したことに伴って(1)②ホに該当する場合の事業の停止期間は、合わせて30日間とする。
(4)(1)の規定にかかわらず、事業の停止処分を行うことにより、地域住民等の生活交通の確保、高齢者、身体障害者等移動制約者の移動手段の確保その他公共の利益に著しい障害が生じるおそれがある場合であって、事業者が改善計画(違反又は事故の再発防止及び安全の確保並びに生活交通の確保に関する具体的方策に関する計画をいう。以下同じ。)を文書で提出し、これに従って改善措置を講じることにより、輸送の安全及び利用者の利便が確保されると認められる場合には、3.に規定する自動車等の使用停止処分を行うことができるものとする。
(5)次の①及び②のいずれにも該当する場合には、当該違反営業所等に、3.(2)の処分日車数による行政処分等のほか、14日間の事業の停止処分を付加するものとする。
① 事業用自動車の運転者が、酒酔い運転、酒気帯び運転又は薬物等使用運転を行った場合
② 事業者が①の違反行為を命じ、又は容認していたとして都道府県公安委員会から道路交通法通知等があった場合
(6)次の①及び②のいずれにも該当する場合には、当該違反営業所等に、3.(2)の処分日車数による行政処分等のほか、7日間の事業の停止処分を付加するものとする。
① 事業用自動車の運転者が、過労運転、無免許運転又は最高速度違反行為を行った場合
② 事業者が①の違反行為を命じ、又は容認していたとして都道府県公安委員会から道路交通法通知等があった場合
(7)次の①及び②のいずれにも該当する場合((5)に該当する場合を除く。)には、当該違反営業所等に、3.(2)の処分日車数による行政処分等のほか、7日間の事業の停止処分を付加するものとする。
① 事業用自動車の運転者が、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転又は酒気帯び運転を伴う重大事故等を引き起こしたとして都道府県公安委員会から道路交通法通知等があった場合
② ①の違反行為に係る指導及び監督の実施が適切でない場合
(8)次の①及び②のいずれにも該当する場合((6)に該当する場合を除く。)には、当該違反営業所等に、3.(2)の処分日車数による行政処分等のほか、3日間の事業の停止処分を付加するものとする。
① 事業用自動車の運転者が、過労運転、無免許運転又は最高速度違反行為(超過速度が30km/h 以上(高速自動車国道及び自動車専用道路においては、40km/h 以上)のものに限る。)を伴う重大事故等を引き起こしたとして都道府県公安委員会から道路交通法通知等があった場合
② ①の違反行為に係る指導及び監督の実施が適切でない場合
(9)次の①及び②のいずれにも該当する場合((5)又は(7)に該当する場合を除く。)には、当該違反営業所等に、3.(2)の処分日車数による行政処分等のほか、3日間の事業の停止処分を付加するものとする。
① 事業用自動車の運転者が、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転又は酒気帯び運転を行ったとして都道府県公安委員会から道路交通法通知等があった場合
② ①の違反行為に係る指導及び監督の実施が適切でない場合
(10)3.(5)の規定は、事業の停止処分を行う場合について準用する。
(11)(1)③の場合の事業の停止期間は、3日間とし、行政処分等(許可の取消処分を除く。)の際に付加するものとする。
5.許可の取消処分
(1)許可の取消処分は、次の①から⑦までのいずれかに該当することとなった場合((2)に該当する場合を除く。)に行うものとする。ただし、許可の取消処分を行うことにより、地域住民等の生活交通の確保、高齢者、身体障害者等移動制約者の移動手段の確保その他公共の利益に著しい障害が生じるおそれがある場合であって、事業者が改善計画を文書で提出し、これに従って改善措置を講じることにより、輸送の安全及び利用者の利便が確保されると認められる場合には、3.に規定する自動車等の使用停止処分又は4.に規定する事業の停止処分を行うことができるものとする。
① 違反点数の付与により、違反点数の累計が81点以上となった場合
② 法第40条に規定する自動車等の使用停止処分若しくは事業の停止処分又は法第41条第1項に規定する自動車検査証の返納の命令若しくは自動車登録番号標の領置の命令に違反した場合
③ 4.(1)②による事業の停止処分を受けた事業者が、当該行政処分を受けた日から3年以内に更に同一の違反(この場合、4(1)②ルに掲げる行為は、いずれも同一の違反とする。)をした場合(4.(1)②ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト及びチの違反については、同一営業所における違反の場合に限る。)
④ 次に掲げる命令に従わなかった場合
イ 法第9条の2第2項に規定する運賃又は料金の変更の命令
ロ 法第16条第2項に規定する事業計画に従い業務を行うべき命令
ハ 法第22条の2第3項に規定する安全管理規程の変更の命令
ニ 法第22条の2第7項に規定する安全統括管理者の解任の命令
ホ 法第27条第4項に規定する輸送の安全確保の命令又は旅客の利便確保の命令
ヘ 法第30条第4項に規定する公衆の利便を阻害する行為等の停止の命令
ト 法第31条に規定する事業改善の命令
チ 法第84条第1項に規定する運送に関する命令
⑤ 法第7条第1号、第7号又は第8号(事業者が当該役員の退任を求めた勧告に従わない場合に限る。)に該当することとなった場合
⑥ 指摘事項確認監査において、是正措置が講じられていないことを確認し、このため事業の改善状況の報告を命じるとともに、貸切の監査方針3.⑱に基づき実施する監査において、なお、是正措置が講じられていないことを確認した場合。ただし、自助努力では実施不可能な厳にやむを得ない事情があって、是正措置が講じられていない場合又は記載事項の不備を確認したが、当該不備が不注意から起こる見落としであることが明らかな場合は、この限りでないが、これらの場合であっても、許容しうる最も短い期間を定めて是正措置が講じられたことを報告させ、それを確認できたときのみとする。
⑦ 法第43条の15第9項に規定する負担金及び延滞金の納付命令に従わず行政処分を受けた事業者が当該行政処分を受けた日から3年以内に同じ命令を受け、かつ、当該命令に従わなかった場合
(2)次に該当することとなった場合には、許可の取消処分を行うことができるものとする。なお、処分は、個別の情状を十分かつ総合的に勘案して行う。
当該事業者に勤務する運転者等が、事業用自動車の運行中に、第一当事者と推定される重大事故等を引き起こしたことにより甚大な人身の被害をもたらした場合であって、当該事業者に悪質な法令違反があると認められる場合
(3)次のいずれかに該当する場合の(1)③の行政処分歴の取扱いについては、次によるものとする。
① 事業者たる法人の合併又は相続があった場合、合併前の法人又は被相続人が受けた行政処分は、合併後の法人又は相続人が受けたものとして取り扱うものとする。
② 事業者たる法人の分割又は事業の全部若しくは一部の譲渡により、運送事業の全部又は一部の承継があった場合、分割前の法人又は譲渡人が受けた行政処分は、分割により承継した法人又は譲渡人及び譲受人(これらの者のうち、運送事業を廃止したものを除く。)が受けたものとして取り扱うものとする。
附 則
1.この通達は、平成28年12月1日から施行する。
2.この通達の施行の日前に確認した違反行為については、改正前の「一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成25年9月17日付け国自安第138号、国自旅第218号、国自整第162号)に定める基準により行政処分等を行うものとする。
3.この通達の施行の日前に、改正前の「一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」の規定に基づき付された違反点数は、この通達により付されたものとして取り扱うものとする。
附 則(平成29年1月13日 国自安第193号、国自旅第324号、国自整第290号)
この通達は、平成29年1月16日から施行する。
附 則(平成29年3月14日 国自安第243号、国自旅第371号、国自整第351号)
この通達は、平成29年3月21日から施行する。
附 則(令和2年11月18日 国自安第123号、国自旅第285号、国自整第210号)
1.この通達は、令和2年11月27日から施行する。
2.令和2年11月26日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとする。
附 則(令和3年5月28日 国自安第14号、国自旅第65号、国自整第45号)
1.この通達は、令和3年6月1日から施行する。
2.令和3年5月31日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとする。
附 則(令和5年9月29日 国自安第71号、国自旅第172号、国自整第116号)
1.この通達は、令和5年10月1日から施行する。
2.令和5年9月30日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとし、令和5年4月1日以降に確認した違反行為にあっては、改正後の運輸規則の規定に読み替えて行政処分等を行うものとする。
附 則(令和6年3月29日 国自安第155号、国自旅第380号、国自整第251号)
1.この通達は、令和6年4月1日から施行する。
2.令和6年3月31日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとする。
附 則(令和6年9月19日 国自安第65号、国自旅第183号、国自整第132号)
1.この通達は、令和6年10月1日から施行する。
2.令和6年9月30日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとする。
附 則(令和7年2月28日 国自安第173号、国自旅第307号、国自整第237号)
1.この通達は、令和7年4月1日から施行する。
2.令和7年3月31日以前の違反行為については、改正前の通達に定める規定により行政処分等を行うものとする。