このページでは、貸切バスの休憩、仮眠又は睡眠のための施設の移転・変更に必要な行政手続きに必要な法的要件を解説します。
手続きの種類
事後届です。
休憩仮眠施設を設置した後に届け出ます。
運輸支局に届出書を提出したときに、法的要件に抵触していなければ、その場で受理されて終わりです。
貨物自動車運送事業では、休憩睡眠施設の変更は認可なので、混同しないようにしましょう。
申請してから期間
休憩仮眠施設は申請ではなく事後の届出なので、認可などの処分はありません。
先にも書いてありますが、届け出ないように不備がなければ、その場で控えの書類に受理のハンコが押されて終わりです。
ですが、窓口で見落としがあったなどして、まれに後で追加書面を求められることもあります。
施設の要件
休憩仮眠施設に求められる要件を箇条書きに列挙すると以下のとおりです。
- 原則は、営業所または車庫に併設されていること。
- 併設できない場合は、営業所と車庫のいずれからも直線で2kmの範囲内にあること。
- 管理が十分可能であること。
- 事業計画を遂行するのに十分な広さがあること。
- 適切な設備があること。
- 土地、建物について3年以上の使用権原があること。
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令に抵触しないものであること。
それでは個別に詳しく見ていきましょう。
建築基準法、都市計画法などの関係諸法令に違反していないこと
休憩仮眠施設・車庫との位置関係
ほとんどの場合、営業所と休憩仮眠施設、車庫が1か所にある方が、便利ですし、管理もしやすいでしょう。
しかしそれらをすべて1か所に揃えるのが難しい場合も多いでしょう。
その場合は、営業所・車庫・休憩仮眠施設がそれぞれ2km以内にあり、適切な管理ができるのであれば認められます。

休憩仮眠施設の広さ
休憩仮眠施設の広さは、公示では「事業計画を的確に遂行するに足る規模」とありますが、事業者の規模により適確かどうかは様々です。
私がこれまでに申請した中でもっとも小さいものは、畳約3畳分でした。
小型バス3台の最小単位の規模では、それくらいでも受理されるということです。(あくまでもその時はということです。必ず受理されるとは限りません。)
適切な設備
適切な設備とは、寝具や椅子やテーブルなど、運転者が休憩したり、睡眠したりするために必要な設備のことです。
何が必要かは、その事業者の事業形態などによります。
例えば、夜間に宿泊や仮眠が必要としない事業形態の場合は、寝具は必要ではありません。
また、必要に応じて、冷暖房設備やバス・トイレの設置の有無を検討する必要があります。
土地・建物の使用権原
自社所有の土地に建物を建てて営業所や休憩仮眠施設にしている場合や、土地を借りてその上に建物を建てたりプレハブを設置して営業所や休憩仮眠施設にしている場合、賃貸マンションやアパートの一室を借りて営業所としているなど様々な形態があるでしょう。
それぞれの場合について解説します。
土地と建物が自己所有の場合
これは簡単で、土地と建物の両方の不動産登記簿謄本(登記事項証明書)で、自己所有であることを証明できます。
ただし、まれに勘違いする人もいるのですが、社長個人の所有と会社の所有とは違います。
社長個人の所有の土地建物を営業所として使用する場合は、社長と会社の間で賃貸借契約など結ぶ必要があります。
土地を借りてその上に自社で建物を建てたり、プレハブを購入して設置する場合
この場合は、土地については、土地の所有者と会社の間の賃貸借契約などが必要です。
建物については、自社で建物を建てた場合は登記をしているはずなので、登記簿謄本(登記事項証明書)により証明します。
またプレハブなどを購入して設置する場合は、売買契約書や設備の概要書などを添付して証明します。
賃貸の場合は使用目的に注意
マンションやアパートなどを借りて営業所とする場合は、賃貸借契約書により証明します。
ここで注意が必要なのは、その建物の使用目的が「事務所」とか「営業所」とかになっていることです。
いちばんいいのは、使用目的が休憩仮眠施設とハッキリと書かれていることです。
使用目的が「居住用」となっていると受理されません。
建物の使用目的はほとんどの場合賃貸借契約書の第2条に載っているか、頭書きの部分に記載されています。
その場合は、契約書のその箇所を訂正してもらうか、別紙で覚書などで「休憩仮眠施設」として使用の許可を貸主か貸主の代理人に許可をもらう必要があります。
契約期間(使用期間)
土地にしろ建物にしろ契約書には「契約期間(使用期間)」が定められています。
公示では「借用の場合は契約期間が概ね3年以上」と書かれているのですが、実際には申請時で3年を切っていると受理されません。(東京の場合)
また3年以上で賃貸借契約を結んでくれる物件はそう多くありません。
なのでそのような場合は、3年以上借りられる旨の「覚書」を貸主からもらいます。
私がこれまでに申請した案件では、ほとんどこのパターンでした。
終わりに
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